亡八者(忘八者)と言う言葉。
『南総里見八犬伝』でお馴染みの
仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌
人間が生きて行く上で大切な八つの道徳的規範を示したものを仁義八行と言いますが
この八つを亡くした(忘れた)人間と言う意味です。
仁・・・思いやり、慈しみ。儒教の五行の最高の徳とされる。
義・・・人道に従うこと、道理にかなうこと。普遍的正義。
礼・・・社会生活上の定まった形式、人の踏み行なうべき道に従うこと。習俗を尊重する。
智・・・物事を知り、弁えていること。(物の道理を知り、正しい判断を下すこと。)智慧。
忠・・・心の中に偽りがないこと、主君に専心尽くそうとする真心。権力者に忠誠を尽くす。
信・・・言葉で嘘を言わない事、相手の言葉をまことと受けて疑わない事。自分の発言は実行する。
考・・・おもいはかること、工夫をめぐらすこと。親孝行すること。親に従う。
悌・・・兄弟仲がいいこと。年長者に従うこと。兄に従う。
江戸時代では女を借金の肩に買い受け客を取らせる
遊郭の主人や従業員を亡八者と言って蔑んだそうですが
逆に仁義八行を忘れなければ勤まらないと言う意味もあったそうです。
時代が変わり今の吉原で最も大切なのがこの仁義八行ではないでしょうか。
ある意味封鎖された吉原では“信”と言うものが大きな武器となります。
極端な話、仕事ができなくても信用のある人物は飯が喰える場所です。
逆に信用が無くなってしまうとどんなに優秀でも吉原で飯は喰えません。
何でもアリに見える媒体、広告代理店ですが暗黙のルールと言う物が存在します。
例えば、取材などで知り合ったコンパニオンに他店の情報を流す事。
これは直接ではありませんが、結果的にその店を辞めて他店に移籍した場合引抜きと思われても文句が言えません。
こんな事をやっていては当然お店からの信用をなくし、その後の取材もままならなくなります。
また、他媒体を陥れるような事。
親しい関係のお店では「○○(媒体名)を契約やめようと思うんだけど」など相談されるケースがあります。
媒体同士はライバルですが基本的には吉原で蠢いている仲間です。
掲載落とされないように担当者に連絡して何とか繋がるように互いにフォローしあったりします。
まれに他媒体の悪口や欠点を触れ回る馬鹿がいますが、自分で自分の首を絞めているようなモノです。
私も吉原で飯を喰わせてもらいはじめて8年経ちます。
その間に出会った店舗、コンパニオン、ユーザー、媒体、代理店の方々
そして私を拾ってくれ吉原でのイロハを教えてくれた樹水駿への恩義を亡くしたら吉原で飯は喰えないでしょう。
仁義や礼節と言う物が軽く扱われる時代ですが
350年の歴史を脈々と受け継ぐ吉原で働く以上亡八者と言われないよう
仁義八行を大切に生きようと思います。